ラッピングコーディネーター 五味栄里先生によるラッピング講座。リボンの結び方、箱の包み方、季節に合わせたラッピングやエッセイなど

星の王子様


「またぁ?」と言われそうで、恐縮ですが。
この季節の仕事の忙しいことと言ったら、壮絶を極めております。
毎日のように続く出張のはざまで、来春の新人研修の話から果ては来夏の件まで含めて、私の頭の中は、たくさんの仕事のファクターがあれやこれやと、空中遊泳をしているように、もめたり、もんだり、飛んだりでワサワサとしております。
ということで、今回はその仕事がらみのお話で、ラッピングの出張の時に私が持ち歩いている品についてお話ししてみようかなと考えました。


まず最初に見て頂きたいのは、ラッピングの見本を兼ねたディスプレイです。
研修時には受講生の皆様にラッピングディスプレイをお見せするために、その季節に合ったものをこのような袋に入れて、研修先にお持ちします。(写真1)この袋は軽くて、丈夫でたいへん重宝しております。同じ素材の紙袋と紙の作品は相性がよろしいようで、乗り物の乗降、携えての歩きなどにもしっかりと袋が耐えて中にある作品のダメージはほとんどありません。この紙袋は百貨店のデザイナーの作品展で見つけたもので、角や把手は皮で補強してあり価格も4000円ほどしていたと記憶しております。でも、いくら丈夫にできていても所詮は紙なので、替えは無く大切に使っております。ちなみに、袋の中身の今年のクリスマスの作品はこちらです。(写真2)グリーンのラッピングの箱を三角に積み重ねて、「ラッピングツリー」を作りました。研修の度に箱を積んでツリーを作りますので、効率よくするために、全ての箱に見えないところで番号が振ってあります。ちりばめたピンクのデコレーションは、パリやミラノで求めたものです。やはり色と形の可愛さは半端ではありません!

次は道具袋です。(写真3)中身は種々雑多で、はさみは用途別の3種類、カッターは受講生で忘れた方のために予備の4本、ワイヤー、両面テープ、ホチキス、カード、指サック、またツールなどでけがをした時のために、絆創膏も入っております。(写真4)経験を重ねて可能な限りコンパクトにまとめて、行きついた道具類です。近年、とても困るのは飛行機に乗るときに、わざわざ荷物を預けなければこれだけの刃物は一緒に搭乗させてもらえないことです。〈ちなみに明日は岡山空港ですが・・とほほ、どうしましょう?〉
その他のツールではストップウオッチ、メージャーも違う袋に入れて持ち歩いております。(写真5)ビジネスラッピングでは無駄を省くために正確なリボンやペーパーの長さを受講生にお伝えする事と、きれいな商品をお客様のお手元に1分でも早くお渡しするのが、私の講座のモットーなので、生徒を鍛えるためにこれらの品は必需品となっております。 (仕事では、時には恐い先生にもなります)

仕事以外の持物で、お気に入りはアクセサリー入れです。よく見ると、紐などもくたびれていますが、相当長く愛用しているからでしょうね。20年ほど前に銀座の呉服屋さんで見つけました。この中にはピアスとか、ネックレスとか衣装によってアクセサリーも変わるので、準備して持っていきます。(写真6)入れ物つながりであと2つご紹介します。1つめはベトナムで見つけた歯ブラシ入れです。(写真7)これなら、少し大きめの超音波の歯ブラシもゆっくり入るので泊まりの時は持参しております。あと1つはこの太ったおばさんの袋です。これもベトナム製ですが、マフラーや手袋、マスクなどを入れて持ち歩いております。乗り物の中で時々風がどこからかスース―来て、微妙に寒いことがあるので、いつでもすぐ対応できるように持っております。(写真8)


最後に衣装や、靴、パジャマ、化粧道具や書類や本、その他もろもろ全部を呑み込んでごろごろと運んでくれる、超働き者の相棒をご紹介します。(写真9)これも使い込んで傷だらけですが、引いた時の感触が柔らかなうえに音も静かなのでお気に入りの一品です。そしてこのカートにぶらぶらと揺れているのがちょっと汚れておりますが、「王子様と羊」です。 (写真10)先日、このカートを引く私の後ろでエスカレーターに乗った小さなお嬢さんが「あっ!星の王子様…」と、かわいい声で叫んでいました。愛読書なのでしょうか?傍のお母様が「本当ね!」、答えていらっしゃいました。後ろを振り返るとお二人ともにこにこしてお顔を寄せるようにして見入っていました。私もこれを見つけた時には全く同じ反応ですぐ購入いたしました。私の行くところ必ず付いてきてくれるカワイイお友達です。
このようなお仕事をしていますと、快適でコンパクトな旅支度は必需品となります。

出張は私のようなお仕事をしておりますと、緊張の連続でストレスも溜まり、リスクも大きいのですが、その街並み、山,川、海などの自然、忘れられない人に、再び会えた時、または初めてご縁を頂いたときなど、本当に心に残るものもたくさんあります。
たとえば飛騨高山は10年以上も毎年お伺いさせていただいておりますが、電車が大きなカーブを描きながら高山の街に入っていく直前の風景を、私は楽しみにしております。
いつもまるで子供のように車窓に鼻をくっつけるようにして眺めています。
雪景色もあり、紅葉に輝く季節もあり、または雨で濡れそぼる稲刈りの後の日もあり、どれも心に残る風景で、それを目の前にすると「一年無事で、また今年も見ることができたなー」と、胸で手を合わせるような感慨もひとしおです。
今年も11月にお伺いさせていただきますが、さて今年はどのような風景が私を迎えてくれるのでしょうか?今から楽しみにしております。
このような大好きな風景は日本中にたくさんあります。皆様のお住まいの街のどこかもひょっとしたら、私の大好きな場所に入っているかもしれませんね。うふ・・・