ラッピングコーディネーター 五味栄里先生によるラッピング講座。リボンの結び方、箱の包み方、季節に合わせたラッピングやエッセイなど

旭川空港


いよいよ年の瀬も迫ってまいりました。私はこの気ぜわしい季節の中で出張も多く、相も変わらずお疲れのバラード(?)の今日この頃です。

先日、北海道の紋別に行ってまいりました。
お仕事で伺うのは本当に久しぶりで、ほぼ20年ぶりのことでした…いかに長くこのお仕事を続けてきたか、お分かりいただけるかと思います。当日、20年前に私のセミナーの担当で、テニスがお好きでハンサムでさわやかな若者でいらした方が、(ご一緒によくお酒も頂きました)セミナー終了後にわざわざ、会場までおいでいただき、お会いしました。今はご出世なさってその団体のトップとなり、ご立派な紳士になられていました。交わす言葉も少なく、ただお互いの変貌に時の流れを感じ、私は若かりし頃の思い出が胸に迫ってきて、再び招聘いただいたご縁に感謝感謝の気持ちでいっぱいでした。

実は本題はこれからなのです…
翌日が思いも掛けないハプニング!なんと東京へ帰る便が、天候は晴れているのですが強風のために欠航ということになってしまったのです。翌日には青森出張が控えているので、今日中にはゼッタイ東京に帰らなくてはいけません。
紋別は一日1便しか飛ばないので、もう万事休す!
航空会社に電話して旭川からの便に振り替えてもらいました。旭川まではバスで3時間かかります、本数が少なく、発車時間までは相当時間があり仕方がないので、元気を出そうと紋別を歩いてみました。

空の抜けるような青さと海の深い青は昔と変わりませんが町並みは淋しい限りで、車は時折通りますが、歩いている人が見当たりません。強風吹きすさぶ中でなんだかこの身もふわーと遠くへ飛ばされてしまいそうに頼りなく、これから向かう旭川のエアーも果たして飛んでくれるのか?と悶々とした心配の果てに、遠いところにポツンと取り残された感じが強く、あまり楽しいお散歩とはなりませんでした。

バスの発車時間のそのころには「車窓の風景も楽しみだな。」と気分も回復してバスに乗り込みました。1時間ほど続いた小さな村落の平野部はまだ晩秋の風情が残っていましたが、山の中に入っていくと、山はすっかり真冬の様相を呈してきました。
そして!な、なんと一面の銀世界になってしまいました。私はこの雪景色を見て愕然、バスがあおられてよろけるような強風はいまだ止んでいないし、この雪ではこんなに頑張って旭川まで出ても(頑張っているのはバスなのに…)エアーが飛ばないかもしれない…と、心配は増すばかりでした。とうとう、東京へ帰ることをあきらめて、直接青森までの行き方をスマホで調べる始末です。これも調べると、実は絶望的な結果です。
旭川から函館まで8時間以上もかかり、函館泊まりにしてもバスの到着時間を計算すると旭川発の最終の特急電車にはぎりぎり間に合いません。

そして、腰の痛くなるほど乗ったバスは、八方ふさがりの気持ちのまま旭川駅の停車場に到着しました。まだ止まない強い風の中、急いで刺した傘からは容赦なくみぞれ混りの冷たい雨が音を立てて吹き込み、あまりの寒さに歯の根も合わない悪天候、いよいよ私の気持ちは絶望的に落ち込みます。

どうしよう、どうしよう。こんな天候ではきっとエアーは出ないだろうな…」とおろおろ空港行きのバスを待っている間、外は凍えてあまりに寒いので旭川JRの駅構内に入り、重い荷物をずりずり引きずりながら、うろうろしておりました。
と、そこに運命を変えるようなポスターを見つけたのです!

「旭川空港はどんな吹雪にも負けません!欠航率が日本で一番少ない空港です!就航率98%!!!」
そのポスターを見た途端、まるで妙なる音色が天から虹のきらめきとともに落ちてきたみたいな衝動!ご想像ください、地獄から天国とはこのことです。
その時、あまりに嬉しくて、漫画で描けば目の中にお星様がきらめき、ほっぺたがばら色になり、周りをバラの花で囲まれた少女主人公みたいな自分を思わず想像してしまいました。
ていうことは…100本のうち2本しか欠航しないということね?!
それならば大丈夫!!
すっかりポスターを信じ、先程までの死ぬような心配はどこに行っちゃったのか?旭川ラーメンを頂くやら、お土産を買うやら、そうそう!思い出しました、この寒いのにアイスクリームまで頂いちゃってご機嫌タイムとなりました。そして、さすが!就航率ナンバー1のおっしゃる通り、エアーは強風をものともせず雄々しく飛び立ち、無事私は仕事に穴を開けることもなく、次の日には元気に青森に飛ぶことが出来ました。

心配って体に良くないですね。食欲もなくなるし胃まで痛くなってきます。だからと言ってケセラセラと言えない事情もあって、人間は心配ばかりして生きているみたいですね。
結局は成るようにしかならないのですから、せめて目の前のことだけを小さく心配してたらいいのにねぇ、いろいろと面倒くさいことまで心配しちゃいます。
心配性の私はいつもこのような状況になると、あれやこれやと考えすぎて落胆したり悲しんだりして、結局自分にストレスをかけてしまいます。ことあるごとに、戒めているのですがなかなか思い通りにはいきません。おおらかに,泰然として、笑顔をどのような時でも忘れないウツクシイ生き方をしたいものだとつくづく感じます。

年の終わりなのに盛大な愚痴のエッセイになりました!!ア~ァ
来年のことを心配したら鬼が笑うらしい(?)ので、何も心配しないでおおらかに良いお年をお迎えください!来年もよろしくお願いいたします。