ラッピングコーディネーター 五味栄里先生によるラッピング講座。リボンの結び方、箱の包み方、季節に合わせたラッピングやエッセイなど

シンガポール


東京の桜も散ってしまった春の終わり、4月半ばに10日間ほどシンガポールへ行ってまいりました。
人からは、シンガポールは近代的なビルが立ち並んでいて、蒸し暑く季節の変化がない町と聴いておりましたので、単純に「夏の東京みたいかな?」などと考えながら初めての地に降り立ちました。ところが、空港からタクシーに乗りその町並を見て、正直驚きました。
豊かに茂った大きな街路樹を従えるように整備された道が延々と続き、緑の向こうに近代建築の粋が集まったようなビル群、東京とも、パリとも、また違うとても垢抜けた美しい街並が次々と現れてくるので、「なるほど!シンガポールの人気はこれなんだ」「浅田次郎の小説の中で『美しい街』だと思いっきり書いてあったなぁ」などとタクシーの中ではその洗練された街並の美しさに、感心することしきりでした。

10日間の宿は親戚のレジデンスにお邪魔しました。
そこは、一番の目抜き通りであるオーチャード通りからちょっと横道に逸れた、東京で申し上げれば銀座か青山のような場所です。お部屋は18階建てのレジデンスの最上階です。
天井が高く(3m以上あるかな?)40畳以上の広いリビングの一面全部がガラスで白い大理石の床が広がる、明るい素敵なレジデンスでした。便利なロケーションだったので国際色豊かな、人種のるつぼと申し上げてもいい、オーチャード通りには散歩がてら毎日のようにぶらぶらと出かけました。

という事で、まずは美味しいシンガポールの話から始めます。
飛行機の中で『チキンライス』が有名ですよ‼とⅭAさんが教えてくださったので、無知な私はあのケチャップご飯だと思い込んでおりました、なんと出てきたお料理がこちらでしたのでびっくり!!(12)チキンはもも肉か胸肉かを選ぶことが出来ます、蒸した鶏肉は溶けるように柔らかく、お味はあっさりしているのですが、そこそこのスパイスがちゃんと効いていて絶品でした!また鶏肉の出汁で炊き込んだライスもたいへんな美味で、お肉とご飯を共に頂くとほっぺたが落ちそうになりました。ちなみにこちらのレストランはちょっと高級で、チキンライスでは一番という噂のマンダリンオーチャードで27S$でした(約2300円)

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『ラクサ』というラーメンみたいなお料理もいただきました。場所は川の傍のアジア文明博物館につながっているプライブという小さなカジュアルレストランでした。(3
ココナッツミルクにシーフードの出汁が混じってまったりとしたココナツの甘味にスパイシーなコクの辛味が効いてとてもおいしかったです。今まで頂いたことのないお味でした上に載っている茶色のソースが辛味です。

『バクテー』こちらも初めて聞く名前!(4)看板の写真でお許しください。骨付き豚肉のスープで、お肉を頂きながらそのスープをご飯にかけて頂きます。なんだか野蛮な感じがする食べ方ですが、どなたも全然気にしないで、ガツガツと手づかみでお肉を食べていました。庶民のお料理ですね。きれいに食べた後はこんな感じで骨だけゴロゴロ残ります(5)お店はこんな感じです(6)お安いのでランチの時など列ができてしまうそうです。

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最後に若い方たちが行列をしていた猛虎堂というお店です。冷たいミルクの下に温かい黒砂糖が沈んでいて中に少し甘味の付いた大きなタピオカがころころと入っています。そしてそれをシェイクしていただくカフェオレのような飲み物が大人気のようでした。(7

シンガポールは観光の国なので、ホテルの話も重要です。
ホテルと言えばマリーナベイサンズですが、夜のレーザー光線のショウタイムを見ました。(8)色がピンクや赤、紫に変化してきれいでした(9)満月が左から上がりベイサンズの上の方まで動いていくのが分かりますか?

ラッフルズホテルは改装中で入れませんでしたが、ショップは開店していたので入ってみると、たまたまポスターにも写っていた、有名らしい(?)ドアマンと遭遇したので、一緒に写真を撮りました(10)とても背の高い人で、インド系の立派なお顔をしていました。さりげなく私の肩に手を置いてエスコートしてくださったのは、さすが英国領の一流ホテルの洗練さですね。
まだまだお話がたくさんありますが、たとえば、現地の子供たちとの触れ合いや、日本人学校やインターナショナルスクールのお話など興味深い経験もあったのですが、それはまた、先に延ばしましょう。

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実は、今回の旅は3月に負ったケガなどもあって、関係するクライアント様にもご迷惑をおかけしたり、この何年分のストレスも重なり相当へこんでしまっていたところに、シンガポールへ来ないかとお誘いを受けて突然に決めた旅でした。なかなか外国へ行く気力も出ずに「よし!頑張って行ってみよう!」と、しぼんだ心に掛け声をかけて、やっと出かけることが出来た状態の旅でした。
日本を離れて空の上に飛び上がったときに、不思議と今までのもやもやとした気持ちが徐々に晴れて、体が軽くなって行くような感覚が広がっていきました。
そして、シンガポールのあのオーチャードの喧騒の中で、どんな服装をしても、何をやっても、何を食べても、どうでもいいさ!?みたいな、好きなことを自由にしている開放的な南国独特の雰囲気が、へこんでしまった私にはフィットしていたように思います。
人生いろいろありますが、くよくよしていても、又は「成るようにしかならないさ。」と開き直っても状況は同じで変わらないんだなーと、もっとゆったりとしてもいいよなーなどと、今更ながらですが、自分を楽にしたいという考えにたどり着いたような気がいたしました。

オーチャードで人の行きかうのを見て、ただボーっと佇んでいても誰の目も気にしないでいられる、そのままそこにずーっといても誰も何も気にしないで放っておいてくれる、そんな自由さがとても好きでした。
仕事も長きにわたり頑張っていると、ちょっと弱音も吐きたくなりますよね。誰かに頼りたくもなりますよね。1人でいることの淋しさに負けてしまいたくなることもありますよね。
シンガポールの女性たちは明るい色の衣をひらひらとなびかせて長くまっすぐで美しい足を惜しげもなく出して、自由に闊歩していました。明るい開放感のオーラが体からあふれ出ていて見とれてしまいました。
頑張らないで心配しないでいつもニコニコとふわふわと軽―く生きたいなと・・・
あの町の明るさ軽さを私は忘れたくないなと、今はちょっと笑顔で考えられるようになった私が、ここにおります。