ラッピングコーディネーター 五味栄里先生によるラッピング講座。リボンの結び方、箱の包み方、季節に合わせたラッピングやエッセイなど

クリスマス2015 パリ


明けましておめでとうございます!
本年も「五味栄里のラッピング講座」をよろしくお願いいたします。

さて昨年、パリのクリスマスに行ってまいりました。テロ騒ぎ勃発後のため、万が一外地で命を落とすことになったとしてもこれも運命と、悲壮感をそこはかとなく漂わせ、周りにも心配をかけながら機上の人となりましたが…エアーはガラガラで(みーんなヤッパリ、キャンセルしたのね)いつも満杯なのに1人で5シートぐらいのゆったり感、ビジネスクラス?みたいな気分の上に、乗客が少ないためか何度も赤白ワインを紙コップなみなみ注いでいただき、すっかりご機嫌さんになって12時間後にシャルルドゴール空港に到着しました。空港内の警備はさすがに厳しく迷彩服の兵隊が機関銃を重そうに抱えてあちこちに立っていましたが、本物の機関銃なるものを初めて目にしたので、その物珍しさから怪しまれないように横目でそーっと見てしまいました。

ホテルはそのアクセスの便利さからオペラ座の傍と決めています。荷物を預けて、近くのラファイエットとプランタンのイルミネーションを見るために出かけました。隣同士の2つのデパートは毎年競ってファサード全体をイルミネーションで埋め尽くすほどの規模で飾るのですが、ラファイエットの今年は寂しい限り…線のみのイルミネーションでした。1しかしプランタンは通常通りの華やかさでした。これは軒下のプランタンの飾りです。2違う日に出かけた老舗のデパートのボンマルシェの内装は、黒い木がトータルコンセプトで、各売り場のセレクトショップにも同じディスプレイがしてありました。34ラッピングはディスプレイと同じコンセプトの黒いリボンと包装紙とキャリー5、開いてみるとラッピングとお揃いのこのバッグです!6このようなギフトを頂いたら嬉しいですね!その他にはマドレーヌのエルメスのファサードも素敵でした。7シャンゼリゼはクリスマスマーケットも両サイドに出て、機関銃の兵隊さんも混じって、たくさんの人が出ておりました。8

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オルセーの話を少し。9
中をぶらぶらと絵画を見ながらしばらく歩いていると、特別展の囲いがあり、無料なので入ってみました。入り口近くには複数の絵画が掛けてあり、共通するのは「娼婦」の絵らしきこと、その中にはゴーギャンもゴッホもロートレックもありました。ドガの「踊り子」の絵もありました。以前聞いた話ですが、この絵のバレリーナはその時代には娼婦のような仕事だったようです。貧困の低層階級の女子にとっては足を出し肢体も露わに踊り、上流の紳士の目に留まると愛人に…その品定めがこの舞台なのです。袖にいる黒い紳士がこの踊り子の愛人だそうです。

その特別展を進んでいくうちにベルベットのカーテンがいかにも重く垂れている場所があり、おそるおそる中をのぞいてみると、本当にすごい代物がたくさんありました。覗きレンズのようになっていて、のぞいてみるとポルノまがいのその時代のフィルム、娼婦と男たちのあられもないフィルムです。びっくりして慌ててレンズから目を離しましたが、隣の人もそのまた隣のご婦人もみな熱心に見ているので気を取り直して私も決心してしっかりと見ました。写真も多数あり、ここはどこ?本当にオルセー?と言いたくなるものばかりです。普通ならば恥ずかしくて正視できないものを、皆、真面目にお勉強といった風情で見ています。たまに老婦人が横の夫らしき人にびっくりした顔をして見せますが、夫は優しく少し笑って見返す程度。中には若―い美人のパリジェンヌ風の先生?がパリのインテリおばちゃん風の一団を引き連れて熱心に案内しながら説明をしていました。おばちゃんたちは頷いたり、びっくりしたり、顔を見合わせてちょっと笑ったり。私がフランス語堪能ならば、きっと面白く聞けたのにと…残念に思いました。梅毒患者の写真などは怖くて見ることができませんでしたが、奥に豪華な衣装をまとった高級娼婦の肖像画があり、その美しいこと!肌は陶器のように白くて、気品があり、凛として胸を張りまるでお姫様のようです。そのそばにはイメージせよ!と言わんばかりに、アールヌーボー様式の特大豪華なベッドに白い清潔な豪奢な絹とレースの寝具までおいてありました。目を引いたのは堕胎用の手術台です。白いおしゃれな木製の家具のようで、ブルーグレイの花柄の絹布を貼ってあります。なぜそのように豪華なのか訳は分かりませんが、とても奇異な感じは否めませんでした。最後はポンチ絵です。御者の娼婦に鞭でシバかれていろいろの職業の男達が馬車馬になって曳いている絵、男たちの死骸の山の上に娼婦が座っている絵などが並んでいました。いつの世も男は欲望のはけ口を求め、堕落と認めながらも、どうしても踏み外してしまう、娼婦は甘い罠のような存在だったのでしょうね。でもその時代のパリはバビロン〈悪徳と堕落〉の街と言われながら、娼婦によって絵画もオペラも文学も文化の花が大輪の花を咲かせた時代でもあったようです。

最後にお口直し・・・。
ベルサイユのプチトリアノンにあるマリーアントワネットの小部屋をお見せします。私はパリ旅で時間があれば、このプチトリアノンまで足を伸ばします。それはこのお部屋が大好きだから。宮殿のように豪華ではなく、天井も低く暗いけれど落ち着いて品があって可愛いからです。もしこのようなお部屋があったらいいなーという思いと、このような簡素の部屋に逃げ込みたかったマリーアントワネットの気持ちがなんだか痛いほど伝わってくる、その切ない雰囲気が好きです。1011

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まだまだお話したいものはいっぱいありますが…今日はこれまでにしておきます。
2016年もいよいよスタートを切りました。
皆様にとりまして良いお年でありますことを、心よりお祈りいたします。

五味栄里