ラッピングコーディネーター 五味栄里先生によるラッピング講座。リボンの結び方、箱の包み方、季節に合わせたラッピングやエッセイなど

ネアンデルタール人


澄んで高く上がった空も少し冷気を含んだ風もすべてが秋の気配に満ちてきました。 夏もいよいよ終わりなんだなーと、若干の感傷が心に影を落としちょっと淋しくなります。 でも、考えてみると「冬の終わり」「春の終わり」は全くこのような気持ちにはならないのに、秋が来ると何故か淋しい・・・不思議ですよね。 やがて来る冬は生物にとって試練の季節という、遠い昔の私たちのⅮNAが密やかに情緒面で反応するのかしら?とどうでもいいことをつらつらと考えながら・・・ 今回のエッセイは何を書こうかなーと・・・ !あっそうだ!ⅮNAと言えば!

突然ですが、先日TⅤで、「ネアンデルタール人の絶滅」の理由をいくつか取り上げていましたので、お話させていただきます。

その最初の説は「共食い」カニバリズムでこれは、ネアンデルタール人の骨の化石の形状を見て分かったそうです。ところが哺乳類はほとんど共食いはしないそうです。なぜならば同じ種の蛋白質を食べてしまうと、体の蛋白質が変化して、特別な物質を出して病気を惹き起こしたり、又はその物質が脳をスカスカの状態にしてしまうそうです。

次の説はネアンデルタール人は移動しながらの狩猟生活なので、少数の家族でグループを作って生活をしていたようです。親族の中での繁殖のために、当然病弱な子孫を作り出しそれが連鎖していき、絶滅したという説です。

最後の説はホモサピエンスに駆逐されたという説でした。 もちろん、ホモサピエンスとは今の人類のことです。以前は、ネアンデルタール人の方がコミュニケーション能力が低いので駆逐されたという説が通説になっていたそうですが、言葉の発達状況が判るネアンデルタール人の舌骨の化石が出てきてこれを調べたら、私達とほぼ変わらないコミュニケーション能力を持っていたことが最近分かったそうです。 本当の理由はうやむやのままでしたが・・・ 結局病弱な種が頑健な種に駆逐されたという結論でした。

ところが,ちょっとホッとするような話を最後に伝えていました。 ネアンデルタール人とホモサピエンスは交配が可能な生物で、実はネアンデルタール人のⅮNAが最近解析されて、驚くことに今の私達のⅮNAにネアンデルタール人のⅮNAが2パーセントも含まれていることが分かったそうです。 すべての今のホモサピエンスにです。 絶滅したのではなく、どういう歴史があったのかはわかりませんが、あらゆる困難を乗り越えて一部のネアンデルタール人はホモサピエンスと交わり、家族を作りお互いの理解のもとに子孫を残していたのです。なんだかとても感動してしまい、地球に育まれて生きとし生ける者のこれが本当の姿だと思いました。 神様がいらっしゃるならば、神様がきっと心から望んだ、あるべき姿がこれだ!と思いました。

この最後の一説を聞きながら現代のホモサピエンスたちに思いをはせ、その愚かさに悲しくなりました。同じ種で、同等のレベルの言葉を持ち、種が絶滅するか否かという絶望的な環境でもないのに、なぜ争うのか?なぜ歩み寄らないのでしょうか? 隣国との日々の諍いのニュースには心が痛みます。まるで男と女の痴話げんかみたいだと感じます。お互い気になって仕方がないのに、わざと知らんぷりしたり、いじわるしたり、悪口言ったり、そのうち絶対謝ってくるだろうと高をくくっていたら、どんどん思わぬ方向に行ってしまい、実は内心慌てているのにやせ我慢の平気な顔をして・・・ またややこしいことに三角関係、二人の隙間に入り込もうとする第三者がいたりして、全く複雑な恋模様と同じじゃないの‼と・・・正直なところ、笑えない話になっていますよね。

大昔の、「人の起源」の時代にたぶん(想像です)ヒト属が生きるために、本能的に芽生えたお互いに対する愛情を忘れたら・・・ホモサピエンスは結局共食いみたいになってしまうぞ!と、私ははらはらしながら時の流れを見ています。 この平和が続くことを、この恋話も元のさやに戻り、お互いを尊重して敬愛して豊かな人生を作っていけることを願うばかりです。